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―――僕の世界は、小さなカプセルの中。


栄養管を体中につながれ、外は汚いからと外出を許してもらえず。


唯一許されたことは、歌を歌うこと。


そんな僕を、外に連れ出してくれたのは、とても大きな、男の人だった―――




人間の知識好奇心は、リテラシーの枠を超えた。

クローンだなんだと驚愕したのは随分昔の話で、化学の限界に挑戦するものが後を絶たず、実質合法化されてしまったこの技術。

すでに絶滅してしまったものも、化石からDNAを取り出して、架空の生き物は自分で作り出して。

そうして生まれたのが、『ミックス』という人種だ。

最初のミックスがニュースになったのも随分昔、今では純粋な人間を凌駕する勢いで繁殖を繰り返している。

そんなミックスは、他の生物との混合種であるから知能の低さ、遺伝子の不安定さが叫ばれている。そのため、人間保護下のもと、適材適所で仕事を割り振られているのだ。

こういえば聞こえはいいが、結局は人間の奴隷になるということで。

人魚とのミックスである僕は、その歌声を買われ、限りなく海辺に近い環境を再現したカプセルの中で歌を歌うことしか許されず。





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