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それから、瑞穂からの情報供給が始まった。

王道くんはオムライスが好きだとか、パフェが好きだとか。

意外と真面目で、仕事をサボった生徒会メンバーにはきつい説教をしているらしい。

本当に誰にも優しくて、この前なんて嫌われているハズの親衛隊を助けてあげたりしていたそうだ。

王道くんがいかにいい人かを聞かされる度、良心が痛む。

まがりなりにも自分の欲のために利用しているのだ。

日に日に瑞穂から聞く言葉が自分への叱責のように感じられた。

食堂に通い、生徒会メンバーと戯れる彼を見て、ますます人柄がいいことが分かる。

きっと、瑞穂も惚れてしまっていることだろう。

「――僕に仕事させといてぼんやりとは、いい度胸だね」
「っひゃ、」

そう考えていると、目の前に怒った瑞穂の顔があって、俺は首を竦める。

「気持ち悪い声ださないでよ、気持ち悪いなぁ」
「真実でも少しはオブラートに包め。友達減るぞ」
「人の話聞かないとさらに友達減るけどね」
「ぐぬぬぬぬ……っ」

すっかり言い負かされ、俺は悔しさに唇を噛む。

「明日、生徒会のみんなで夕飯食べるんだって。夕飯は部屋で食べてるけど、明日は出てきたら?」

大好きな伊吹が見れるよ、と言われ、俺は小さく頷く。

「…分かった」

王道くん、ゴメンね。

でも、王道くんが笑ってるの見るの、嫌いじゃないんだ。

優しくて、温かくて。俺、そういう人に惹かれるんだ。

嫌いじゃない、いやむしろ――好きかもしれない。

罪悪感と、芽吹き始めた新しい感情に戸惑いながら、俺は瑞穂の話に耳を傾けたのだった。





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