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恥ずかしがるそぶりを見せながら、出来るだけ嘘っぽくならないように努める。

瑞穂はそんな俺を観察しながら、ちょっと驚いたように目を見開いた。

「……へぇ、和樹が僕にそういうなんて珍しいね」
「俺一人じゃどうしようも出来なくて……瑞穂がよく知ってる奴なんだ」
「じゃあ、生徒会関係?」

そう言われ、俺は小さくコクリと頷く。すると、幾分トーンの下がった声で、『誰?』と聞かれた。

「転校生の……伊吹(いぶき)、くん」

王道くんはそんな名前だった気がする。

そう思いながら言えば、瑞穂は馬鹿にしたように言った。

「和樹タイプ変わった?その顔で伊吹狙うとかマジでウケるんだけど」
「ううううるさいっ!顔は関係ないだろっ!!」
「どうだろうな〜」

真っ赤になって言い返すと、瑞穂に適当にあしらわれた。く、悔しい。

「で、僕に紹介しろって?」
「いやっ!そこまでしなくていいっ!」
「じゃあ何さ」
「俺、まだあんまり伊吹くんのこと知らないから……情報とかっ、教えて欲しいんだっ」

そう、今回の目的は恋愛成就ではない。

俺が恋していると仄めかすことによる、瑞穂の恋愛行動を引き起こすことが目的だ。

瑞穂の容姿なら好かれて嫌に思う人はいないし、相手は美形ホイホイな伊吹くんだ。

きっと伊吹くんの魅力に気づいてすぐにのめり込んでしまうだろう。

そうすれば、美男子カップルが出来上がり、俺も晴れて自由な恋愛。

事情を知らない王道くんには悪いが、少しだけ協力してもらおう。

そんな俺の気持ちをしってかしらずか、瑞穂は『ふーん』と呟いた後、了解してくれたのだった。





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