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それをジンさんは知っていたのだろう。俺の髪をぐしゃぐしゃと撫でると、こともなげに笑った。

「今日は奢ってやるから気にしないで食べろ。食って寝てればすぐに体重も元に戻るし元気も出るさ」
「…すいません、ご迷惑をおかけして」
「そこはありがとうございますだろ?」
「はい、ありがとうございます」

素直にお辞儀をすると、『それはそれでかゆいな』と茶化すように笑われ、俺もつられて笑ってしまった。

今日はジンさんの独断でメンバーを決めたらしく、柊君とアヤトさんだけだった。理由を問うと『ま、お楽しみ』とはぐらかされてしまい、嫌な予感しかしない。

そうして、いつものレストランで食事を取っていると、アヤトさんはおもむろにジンさんに切りだした。

「…で?どうせ良からぬこと考えてるからこのメンバーなんだろ?」
「あたり、さすがアヤト」
「調子いいこと言ってんじゃねえよ。どうせ碌でもないんだろ」

オマエら気をつけろよ、と嫌そうに言うアヤトさんに、俺たちは苦笑するしかなかった。

長い付き合いらしく、何となく察しはついているらしい。

「今日はセリと食事が目的だったからな。コイツは大人しいし、これくらいの人数の方がいいと思って」
「ならそっちの大学の食堂で十分じゃないですか。……もしかしなくても、おせっかいやこうとしてますよね」
「あたり」

柊君の言葉で、俺はドキッとした。それにかまわず、ジンさんは続ける。

「慶太の見え見えのアプローチ、成就まで見守ってやろうぜ。セリはカメラと仲いいし、ヒイラギは慶太と同じ高校出身じゃねえか。気にならねえの?」
「同じ高校でも、アイツにはムカついていた印象しかないし、仲いい訳じゃないんですが」
「それは今更だろ?」
「結局自分が楽しみたいだけなんだ。諦めろ、二人とも」

アヤトさんがため息交じりに言うと、ジンさんはおかしそうに笑った。しかし否定をしない辺り、図星らしい。

「かわいくない慶太にしては、可愛い恋愛してると思わねえ?高校生みたいだよな。あーいうのは応援したくなるんだよ」
「で、俺たちに何をしろと?」
「まず、デートセッティングして来い」
「はい?」





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