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まったくもってその通りで、俺は笑うしか無かった。

姿が変わったとはいえ、俺にファッション性は皆無で、帰宅時にスタイリストさんにいつもコーディネートして貰っている。

そしてそれを買い取る…というモデルらしからぬ状態だが、現在メンズ雑誌を買いあさって勉強中なので見逃して欲しい。

「でもセリちゃん羨ましいわ。ポラ写りがいいって皆絶賛なんだから」
「そんなことありませんよ」
「本当。新人の中じゃピカイチってスタッフの中で噂なんだから。すぐにコラボとか広告のオファーとか来ちゃうよ」
「まさかそんな」

幾分力強く語るメイクさんに、俺は苦笑する。

モデルになれてきたのもつい最近で、そういった話は未だに絵空事のようだ。

控室の扉を開けて、メイクさんを招き入れると、さらに感嘆の息が上がる。

「それにセリちゃん優しいしね。……ありがとう、今晩ご飯でも食べにいきましょうよ」
「……すいません、今日は用事でして」

さりげないお誘いはやんわりと断る術を覚えた。

最初の頃は断り切れず、メイクさん、スタイリストさん、カメラマンさんと代わる代わる誘われ、二日酔いに悩まされたものだ。

「あら残念。じゃあメイク落とすねー」
「はい」

そんなことを考えながら、俺はメイクさんの言葉に従ってゆっくり目を閉じたのだった……





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