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「ごめん、なさい―――っ」

冷たさに震えながら、僕はみじめに土下座をした。

「ははっ、マジでやってるぜコイツ!」
「きたねー!」
「馬鹿じゃねえの!?プライドねーのかって話だよな!」
「う、うぅ――――」

クラスメイトの罵声とともに、髪の毛を引っ張られ、背中をしたたかに殴られる。

絶対に、泣きたくなかった。

僕は、こんなことでへこたれたりしない。ちっともこたえてないんだ。

だって、こんな僕でも、傍にいることを許してくれる人がいる。

僕を、信じてくれている人がいる。

僕ならできると、頷いてくれた人がいる―――

「柊君、一昨日は、本当にごめんね。僕、本当は―――」
「―――うるせぇな」

チョコレートアレルギーなんて、僕の一番の汚点だ。

いつも以上に不細工になって、かゆみと痛みで人に会うことすらままならなくなる。

そんな状態になるのを恐れて、僕は柊君の気持ちを台無しにしてしまった。自分を守ってしまった。

それを僕はすごく後悔していて、気持ちだけでも、伝えたくて。

柊君に謝ろうとした言葉を遮ったのは、柊君自身だった。

「グダグダいい訳してんじゃねえよ。―――俺、オマエが一番大嫌い」
「―――――――っ」

喉が、震えた。

言葉がでなくなって、静かに涙が溢れてくる。

―――もう、駄目なの?

もう、あの笑顔が僕に向くことはないの?もう―――柊君にあいさつ出来ないの?

「―――うぁぁーっ!!」

クラスメイトと柊君が教室から出て行って、僕は声にならない叫びをあげながら泣いた。

大事な人を、傷つけてしまった。

大事な人に、嫌われてしまった。

僕は、馬鹿だ――――

胸を締め付けられるような痛みに、僕はその場を動けなかった。

―――後日、慶太にだけはこのことを話した。

信じてもらえたのに、期待に応えられなかったことが、恥ずかしくて申し訳なかったけど。


慶太は、僕の頭を軽く撫でてくれて。

何も言わない、その空間が、慶太の答えで。

僕はまた、涙を流したのだった。





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