16




Side 飛鳥



―――学校に行くのが、こんなに怖かった時は無い。

けれども、発疹をなんとか我慢すると僕は学校に急いだ。

意図的に避けてきていたため、久々の発疹はかゆみと激痛がひどかった。今でも意識をしていなければ掻いてしまいそうになるが、なんとか我慢して制服を着ている。

いつものようにいじめ対策をして、席に着く。

柊君が来たのを確認すると、僕は柊君に向かっていつものように挨拶しようとした。

「お、おはよう」
「――――何、ブスカ」
「――――っ」

声が、続かなかった。

ごめんね、の言葉は、柊君の前に出てこなくなってしまった。

今までのように笑ってくれた柊君はおらず、他のクラスメイトのような視線で僕を見ている。

僕の頭に、一つの言葉がこだました。

―――『自業自得』

どうしてあの時、僕はあんなふうにしか言えなかったんだろう。

頭の中には後悔ばかりで。

結局、午前中は話しかけることもままならず、もってきたシュークリームを差し出すことすらままならなかった。

とぼとぼと、肩を落として慶太のところへ向かう。

昼休みになった途端柊君は購買に向かってしまい、声をかけることもできなかった。さらに、僕が見ているのを不審に思ったのか、柊君の取り巻きに殴られてしまい、僕は俯いて歩くしかない。

「飛鳥先輩!」
「あ、慶太……わっ」

慶太の声がしたと思ったら、僕は慶太にギュッと抱きしめられていた。

突然のことに驚いて目を丸くしていると、慶太がため息とともに呟く。

「よかった……心配しました」
「―――――っ」

不意に、ジワリと涙が滲んだ。





[ 60/140 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



TOP


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -