16
Side 飛鳥
―――学校に行くのが、こんなに怖かった時は無い。
けれども、発疹をなんとか我慢すると僕は学校に急いだ。
意図的に避けてきていたため、久々の発疹はかゆみと激痛がひどかった。今でも意識をしていなければ掻いてしまいそうになるが、なんとか我慢して制服を着ている。
いつものようにいじめ対策をして、席に着く。
柊君が来たのを確認すると、僕は柊君に向かっていつものように挨拶しようとした。
「お、おはよう」
「――――何、ブスカ」
「――――っ」
声が、続かなかった。
ごめんね、の言葉は、柊君の前に出てこなくなってしまった。
今までのように笑ってくれた柊君はおらず、他のクラスメイトのような視線で僕を見ている。
僕の頭に、一つの言葉がこだました。
―――『自業自得』
どうしてあの時、僕はあんなふうにしか言えなかったんだろう。
頭の中には後悔ばかりで。
結局、午前中は話しかけることもままならず、もってきたシュークリームを差し出すことすらままならなかった。
とぼとぼと、肩を落として慶太のところへ向かう。
昼休みになった途端柊君は購買に向かってしまい、声をかけることもできなかった。さらに、僕が見ているのを不審に思ったのか、柊君の取り巻きに殴られてしまい、僕は俯いて歩くしかない。
「飛鳥先輩!」
「あ、慶太……わっ」
慶太の声がしたと思ったら、僕は慶太にギュッと抱きしめられていた。
突然のことに驚いて目を丸くしていると、慶太がため息とともに呟く。
「よかった……心配しました」
「―――――っ」
不意に、ジワリと涙が滲んだ。
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