2




「―――テメエ何チクッてんだよ!」
「ぐっ」

―――その日の放課後。僕は数名のクラスメイトに呼び出されていた。

原因は、昼休みのこと。

生徒指導室に呼ばれた理由は、僕の机にいたずらをするために学校の備品が使われたからだ。

学校の備品が頻繁に減っては、先生たちも不思議に思う。そうして、使われ先を調べていると、僕に行きあたったというのだ。

『正直、オマエがいじめられているのは何となくわかる。だから、言ってくれ芹沢。誰がこんなくだらないことをしているのかを』

「―――それで俺たちをうったんだろうが!」
「ほんとブスカは最低だよな。すぐに泣きつく弱虫だ」
「う、ううっ」

服の下を殴られ、僕は短く悲鳴を上げ続ける。見えるところに傷をつくらないのがなんとも陰湿だ。

僕も、あの机と同じ。

何度も傷つけられて、消えない傷もたくさんあって。

ただ、それが心だから、誰にも見えないだけで。

「……僕、言ってな、いっ」
「はぁ?じゃあ何でホームルームがあんなことになるんだよ!」

どなり散らすクラスメイトに、僕は涙が滲みそうになるのを耐えながら思った。

嘘じゃない、僕は結局担任に何も言わなかったんだ。

昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴るまで、僕は一言も話さなかった。『これは僕の問題だから』とい頑なに首を振って。

『……分かった』

そう言って僕を教室に送り出した担任は、放課後のホームルームにクラスの前でこういった。

『このクラスで、いじめが起こっている』と。

それから続いた説教には、僕らのことを含ませたような言葉もあって。彼らが誤解してしまうのも無理はないんだけど。

「……本当にムカつくよな」
「いっそ学校来れないようにしてやろうぜ」
「はぁ?無理無理。コイツこんな恥ずかしい顔のくせに学校来るんだぜ?こんな恥知らず、世界中探してもいないって」
「こんな不細工は宇宙にもいないけどな」





[ 46/140 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



TOP


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -