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―――それから、企画は順調に進んでいった。

モデルの中には俺やジンさん、柊君などの大学生もいて、試験と重なれば来れる人だけ来て意見を出し合う、というスタンスで進んでいく。

「この試作品どうですか?」
「んー……ちょっと発色が暗い気がします」
「ピンク系は綺麗に発色できてるけど、オレンジ系がちょっとそんな感じだな」

今日は中間試験が終わり、ジンさんと一緒に参加できる日だった。

浜口さんが持ってきてくれたコスメの試作品を、同じ会社の女性の方に使わせてもらって確認してみる。

黒髪に似合うコスメ、という方針は決まったが、意外と難しい。

発色がよすぎても浮いてしまうし、悪かったら暗い印象になってしまう。

「多分ファンデはこれくらいで大丈夫だと思います。透明感もあるし、崩れにくい工夫がいっぱいだから、きっと化粧直しの回数も減ると思いますよ」
「ありがとうございます」
「あと、マスカラのダマになりやすさが気になるな。価格を考えるとこれ以上は厳しいかもしれないけど…」
「いえ、もう少し開発と考えて粘ってみます」
「―――すみません、遅れました」

そんな風に白熱していた会議室に、慶太がやってきた。俺たちとは違う大学に通う一年生で、今日は講義が遅くまであったらしい。

「おー、お疲れ」
「お疲れ様です」

そんな彼にあいさつをすると、慶太はまっすぐ俺たちのところにやってきた。そうして、俺の隣に座ると手の中から試作品を取り上げる。

「どこまで話したんッスか?」
「……えっと、チークの発色と、マスカラのダマ、あとファンデかな」
「ふーん」

慶太とこの距離で話すのは久々で、俺の心臓は不自然に跳ねた。ふられても、俺が嫌いになったわけではない。

相変わらずの感情と、未練がましい自分に内心頭を抱えたくなった。

「慶太くん、ここまでで何か言っておきたいことはある?」
「あー、シャドウの色もう少し増やしてほしいです。今の三色で十分ですけど、立体感とかを考えたらここで他社と差を出していくのもいいかもしれません」
「なるほど。じゃあもう少し中間色を増やしてみようかな」





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