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「ヒイラギさん!?」
「さっきそこで会ったから呼んだんだ。……ダメだった?」
「ダメではないですけど……」

うん、分かるよ。驚いてるんだよね。

そんな俺たちの気持ちを知ってか知らずか、柊君は堂々と席に座る。

俺はその隣に座ると、ナオ君とともに新メニューを注文した。

その瞬間、俺の携帯が鳴って俺はあわてて立ちあがる。

「ごめんちょっと」
「はい」

ほぼ初対面のナオ君と柊君を残すのも気がひけたが、携帯のディスプレイに表示されている名前に出ないのもためらわれて。

トイレに向かうと、俺は通話ボタンを押した。

「はい、セリです」
『あ、どうも浜口です』

電話相手は、この前の撮影でお世話になった浜口さんだった。あの後連絡先を交換してほしいといわれて交換していたのを思い出し、浜口さんの言葉に耳を傾けた。

『時計のプロモーションありがとうね。企画の方でも大好評だったよ』
「あ、その節はありがとうございます」
『それはこちらのセリフだよ。モデルさんっていうのは綺麗でとても素敵だね。来週にでも雑誌や駅前にポスターが出ると思うから』
「はい」

手放しに褒められて、なんだかくすぐったい気分になる。浜口さんは年上だから、兄に褒められる感覚に似ているかもしれない。

そんなことを考えていると、浜口さんはさらに続けた。

『それでさ、ちょっと相談したいことがあるんだけど、今時間大丈夫かな?』
「えっと……すいません、今友人とファミレスに来てまして。……急用ですか?」

申し訳なく思いながら言うと、浜口さんは軽く笑いながら続けた。

『いや、出来ればはやく話しておきたいだけで、急用って言うほどではないんだ。今週末にでもモデル会社の方に行くと思うし』
「そうでしたか」
『そういうわけだから、邪魔してごめんね。もしヒマがあったらいつでもいいから折り返し電話してくれる?』
「分かりました。では、失礼します。」





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