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―――それから2週間して。ついにコスメの発売日になった。

まだプロモの仕事は終わりではないけれど、テレビCMはすでに放送され始めて、ついに店頭に並ぶ時が来たのである。

そんな日に、俺は最後の仕事をしにスタジオに向かっていた。

急に降板した俺が今更来たことに、スタジオのみんなは騒然としていたようだった。

だけど、隣にいる柊君が勇気をくれて、俺は真っすぐにナオ君のところに向かう。

「―――ナオ君、ちょっといいかな…」
「セリさん…」

ナオ君は俺が会いに行くと、ナオ君は泣きそうな顔になりながら俺に縋りついてきた。

「整形って、嘘ですよね…?何かの、間違いですよね?」
「…ううん、本当だよ」
「――――っ!」

ナオ君はそれを聞くと、俺の顔を思いっきり叩いた。慶太の時ほど衝撃は無かったが、俺はそれを甘んじて受け止める。

「ウソツキ…っ!酷いです、そんな大事なこと黙ってるなんて……っ!」

ナオ君は、そういいながらぼろぼろと涙をこぼし始めた。かなり心配をかけてしまったのだな、と思いながら、ナオ君の言葉を受け止める。

「俺たち、友達じゃないんですか…?そんな大事なことも言えないで、本当に友人だって言えるんですか?…俺にくれた言葉全部、嘘なんですか!?」
「違うよ。―――今日は、ナオ君との約束を果たして、モデル最後の仕事にしようと思って来たんだ」
「え――――」
「一眼レフで、俺をとってくれるんでしょ?ちゃんと一張羅のスーツ着てきたから、かっこよく撮ってね」

いたずらっぽく笑うと、俺は撮影に入るときと同じように『よろしくお願いします』と頭を下げた。

師匠からもらった、大事な一眼レフ。それで撮ってもらえることを、とても誇りに思った。

そんな友人になれたことが嬉しかった。

だから、最後の俺を、撮って欲しい。

ナオ君は、師匠に許可をとってから、一眼レフを持って俺のところに帰ってきた。





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