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誰かを愛すことは、不安との戦いかもしれない。いくら一緒に住んだってずっと一緒にいられる訳なんてないし、同じ景色を永遠に共有して行くことはできないのだ。

でも、不安を打ち壊せるのも、やっぱり愛なのだ。

くだらないことでも話したい。一ミリの隙間もなく、抱きしめあっていたい。そうやって、不安を失くして行きたい。―――相手を、誰より強く信じたい。

俺が手をとって歩いていきたいのは柊君で、柊君にずっと笑っていて欲しい。そんな毎日を、重ねて行きたい。

そうやって、ずっと先まで、一緒にいたい。

そしてもし、いつか辛い過去ごと愛せるようになれたなら。

―――きっと、誰より幸せになれると思うんだ。

「約束する。絶対話して、帰ってくるから。そうしたら―――俺を抱いて」
「飛鳥……」
「柊君が話してくれて、嬉しかった。俺は柊君が好きで、でも『俺なんか相手にしてもらえるはずがない』って不安だったから。―――柊君の気持ちを信じられるから、俺は慶太のところに行けるんだよ?」

言いながら恥ずかしくなってきて、俺ははにかんだように笑った。けれど、なんだかもうどうでもいい気分になってしまう。

夕闇のアパート。二人だけの世界。聞いているのは柊君だけなのだ。

柊君だって、気持ちを口にしてくれた。

―――だったら、俺だって口にしてもいいじゃないか。

「柊君が好き、大好き。―――信じて」
「―――もういい」
「んっ」

柊君はそういうと、俺にキスをくれた。甘えるようにキスをねだりながら、これ以上ないくらい密着して、柊君の体温を味わう。

やっと、本当に触れあえた。

柊君と、柊君の心と。

―――それが尊くも嬉しく、こんなに愛しいことなんだって、初めて知った。

「帰ってこいよ、飛鳥。―――信じて待ってるから」
「うん……っ」

柊君に微笑みながら言われ、俺は嬉しくてまた一筋、涙をこぼしてしまったのだった。





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