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「……俺が、モデルになってしたかったこと」

俺はそうつぶやくと、一つ息を吐いた。

それは、自分に勇気が欲しかった。

自分を認めて、受け入れて、そうやって生きて行きたかった。だから、自分をさらけだすモデルの仕事をやってみたいと思ったんだ。

その仕事が、できなくなって悔しい。

悔しいと感じるくらい、俺にはプライドがあった。―――この仕事ができることを誇りに思っていた。

そこまで考えて、俺は小さく笑った。

「…なんだ、俺、もう自信持ってたんだ……」

この仕事をできて良かった。スカウトされてよかった。―――そんな事が出来る自分を、初めて誇りに思えた。

「浜口さん、ありがとうございます…」

途中でやめることで、みんなに迷惑をかけてしまうけれど。

俺は自分のしたいことを見つけられ、達成することができた。

この企画に参加した事は、無意味じゃなかった。

今までだったら『俺なんかじゃ不相応だったんだ』とか『やっぱりね』というあきらめが先に立っていたけれど。

諦めることを悔しいと思える自分になれた。―――本当の意味で、前向きになれた。

スタッフのみんな。ナオ君、慶太―――柊君。

みんなに出会えたから、そんな風に思える自分になれたんだ。

そのことに気づかせてくれた浜口さんに、俺は小さくお礼を述べた。

「でも―――まだやり残したことがあるから……」

まだもう少しだけ、『モデルのセリ』でいさせて欲しい。

そうして、最後の仕事を終えたら。

「…また、再スタートだね」

――――俺は本当に、『芹沢飛鳥』として歩き始めるんだ。





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