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Side  飛鳥



―――それは、突然だった。

「―――セリさん、すごく申し訳ないけど、この企画降りて欲しいんだ」

浜口さんに呼び出された俺は、今まで企画を話しあっていた会議室でそう切り出された。

浜口さんは申し訳なさそうに俺の様子をうかがっていたが、俺の戸惑いを感じてかさらに続ける。

「…この前、ナオ君に頼んだ写真をサイトにアップしたんだ。すると、『彼は整形ではないのか』という意見を複数いただいてね…君の契約会社に確認して、この結果に至ったんだ」
「…………っ」
「反論がないということは、やっぱりそうなんだろうね。雑誌では読み手が限られているだろうからそこまでなかったのかもしれないが、今回はネット上だったのがまずかったのかもしれない。世界からも注目され始めていた企画だったから、閲覧者が多すぎたんだ。―――現在、サイトは改修中ということで閲覧できなくしている」

言われている言葉に、嘘や慰めはなかった。ただ真実を、淡々と続けてくる。

それでも、どうしてという気持ちが先に立って、グッと握りしめた拳に力が入る。

どうして、今なんだ。仕事に頑張ろうと、決意を新たにしたばかりなのに。悔しさが溢れて来て、俺は下を向いて涙をこらえた。

それをどうとらえたのか、少し優しい口調で浜口さんはさらに続ける。

「…勘違いしないで欲しい、今でも君が魅力的だと思っているよ。ただ、今回は『自然美』がテーマだから、整形しているとどうしても印象が悪くなるんだ。…降板はモデルとしても痛いだろうけど、君はこんなところで終わる人材じゃないはずだ。―――やりたいことがあって、モデルになったんだろう?諦めないでくれ」
「――――――っ」

俺は優しい浜口さんの言葉に何も言えなくなってしまって、結局浜口さんの顔すら見れなまま、浜口さんは会議室を出て行ってしまった。





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