6




そう言われて、ドキッとした。

そんな風に、考えたことがなかった。確かに柊君はずっと憧れで、尊敬できるし、とても好きだとは思うけれど。

恋愛感情で、好きなのかな……?

でも、少しエッチなこともして。たくさん抱きしめてもらえて。

――――どきどきしたし、嬉しかったんだ、俺……

「―――あれ、セリさん!?」
「ごめん、何か恥ずかしくて……っ」

あの時のことを思い出してしまい、顔に一気に熱が集まる。思わず顔を押さえてその場にしゃがみ込むと、ナオ君が慌てたように声をあげた。

俺の気持ちは、今どこにあるんだろう。

ナオ君が大事。慶太とまた話せるようになって嬉しい。柊君に抱きしめられてどきどきした。

ナオ君との友情を優先したいと思いながら、俺の感情は宙ぶらりんだ。今日の撮影で指定がすごかったのも、俺のそんな浮ついた感情が起こしたのかもしれない。

「―――よしっ!」
「うわぁっ!」
「なんか気合入った!ありがとうねナオ君!!」
「は、はぁ……」

俺は自分の頬を叩いて気合を入れると、一気に立ち上がった。ナオ君は俺のそんな様子に目を白黒させていたけど、それでも『元気が出てよかったです』と苦笑してくれた。

「とにかく、目の前の仕事が先だよね…っ」

この企画、成功させたい。

こんな素敵な企画に参加させてもらえるチャンスなんて、二度とないのだ。

浜口さんに控え目だとからかわれたけど、もう少しいろんなことに挑戦してみるような姿勢で臨んでみよう。

そうすれば、また新しい自分を見つけて、俺は変われるのだろうか。

姿を変えるだけが変化ではない。気付きかれにくくとも、自分の中に確かな変化を感じたい。

結局、俺はずっと、自信が欲しいだけなんだ。

望んで、望んで。

そうして、自分に自信がついたら見えるものがあるのかな。

俺は―――だれが好きなんだろうか。

――――俺は、誰と一緒にいたいの?





[ 116/140 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



TOP


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -