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「あ、今この先輩馬鹿だって思っただろ?」
「思ってないですよ…撮影スタッフはどうか知りませんが」
「いうじゃねえか」

そんな風に学食で話しながら、撮影時間が近づくとそのままスタジオへ向かった。

今日はプロモーション用の撮影で、一応はこれでコラボ企画は終了になる。

これからCMに出た人たちはテレビやラジオの番組にもプロモーションに向かうことになるらしい。ジンさんが中心で動くらしいが、アヤトさんや柊君、そして慶太もいろんな所へ出るようだ。

「セリはプロモ出ないのか?」
「俺は、なぜか浜口さんに止められてます…」
「なんでだよ。本当にあのオッサンはセリが好きだな」
「おっさんでごめんね」
「げっ」
「あ、浜口さん」

俺とジンさんが話していると、後ろから浜口さんの声がして俺たちは振り返った。ジンさんはやばい、というように口元を押さえていたが、浜口さんはとても冷静に『後で話そうか』と笑っている。

後ろに般若のオーラが見えるのは気のせいではないだろう。

「でもね、セリ君にはもっと特別な仕事を用意してるから」
「はぁ……」
「あ、あとキャッチコピーが決まったよ」
「やっとですか」

それを聞いて、ジンさんがぽつりとつぶやいた。

前から企画として進んでいたものの、広告などに使うキャッチコピーがなかったのだ。最初の方から案はたくさん出ていて、うまく決めることができなかったこともある。

CM撮影の際には数種類のパターン撮影をしたため、候補を複数使うことで済ませたのだが、ジンさんのいうとおりまさしく『やっと』なのである。

「遅くなって申し訳なかったけどね。社の方で話したら、なんとかまとまったんだ」
「へぇ。で、どんなのになったんですか?」

ジンさんが興味深げに食い付くと、浜口さんは楽しそうに笑いながら口を開いた。

「キャッチコピーはね―――『ありのままの君は美しい』でいこうと思うんだ」

浜口さんはそういうと、もっていたサンプルを見せながらさらに続ける。

「やっぱり、黒髪とか、ナチュラルメイクとかにこだわっていたから、『自然美』を大事にしたくてね」
「なるほど。確かにシンプルで逆にいいかもしれないですね」
「でしょう?」





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