23
『ずっと傍にいる』――セリさんのその一言が、俺を救った。
普通恋敵にこんなこと、相談できない。
俺が辛かったのは、悲しかったのは。
―――二人が遠くに行ってしまうのが、寂しかったのだ。
人は、寂しさを知っているほど恋に溺れると言う。
絶望して、孤独を感じて。
そうして、友達よりも確固たる絆をもつ―――『恋人』を求めるのだ。
「……セリさん、急に呼び出してごめんなさい。もう、大丈夫です」
「本当?大丈夫?俺まだギュッてしてたいんだけど」
「ふふ、残念ですね」
からかうような口調のセリさんを見上げて、目が腫れていることに気づいた。
もしかしたら彼も一晩中泣いていたのかもしれない。
そう思うと、自分のことしか見えていなかった自分が恥ずかしくなった。
同時に、この人には敵わないな、と思う。
びっくりするくらい不器用で、強く綺麗な人。
真っ先に俺のところに駆け付けてくれた―――1番の、友達。
「……セリさん、慶太とちゃんと、話してください」
[ 105/140 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
TOP