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Side セリ


―――夜が明ける寸前、俺は携帯の着信音で目が覚めた。

「ん……、っ」

目が腫れぼったくて、顔をあげることすら億劫だったけど、携帯画面に表示された名前に俺は飛び起きた。

「ナオ君―――」

まだ夜は明けず、ディスプレイの時計を見れば4時過ぎだった。

ずっと起きていたのかな、と思いながらメールを開いて、俺はベッドから降りてバタバタと外へ出た。

―――『セリさん、助けて』

たった一行、絵文字もないメール。

どんな気持ちでナオ君がメールを打ったのか分からない。俺は走って、なんと言葉をかけるつもりなのだろう。

でも、ナオ君を1人にしたくない。

ずっと、あこがれていた友達という存在。たわいもない話で笑ったり、一緒にご飯を食べたり。

当たり前のようなことさえ、ナオ君といるととても楽しかったんだ。

ナオ君が悲しんでいると、俺も悲しい。

傍にいて、ずっと話を聞いて。

いつだって、ナオ君の一番の味方でいたいんだ。

「―――ナオ君っ!」

俺は、ナオ君の家に着くと乱暴にドアをたたいた。早朝に近所迷惑だと思うが、そんなことはかまってられない。

「ナオ君、開けて。―――俺、何もできないかもしれないけど、辛い時は傍にいたいんだっ」

だから、心の扉を開けて。

祈るような気持ちでドアに顔を押しあてていると、かちりと鍵が開いた音がした。俺は逃げ込むように部屋に入ると、布団にくるまっているナオ君を抱きしめる。





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