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「うわぁ…すごく美形な人が三人もいるなんて…すごい高校ですね」
「ま、不細工過ぎて有名な奴もいたけどな」
「ヒイラギ先輩、」

慶太がたしなめるように柊君にいう。それが『僕』をさしていると気付いたのだろう。

だけど、柊君は構わず続けた。

「本当のことじゃねえか。オマエだって知ってるだろ?」
「…俺はあの人を不細工だなんて思ってません」

挑発するような柊君の言葉に、慶太が短く返す。

だけど、俺にはその言葉が信じられなかった。

―――え、でも…慶太は……っ

卒業式、言ってたじゃないか。

あの整形の引き金になった一言を、俺は忘れたことなんてない。

どういう意味だ、と変に緊張していると、『お待たせしましたー』と店員さんがメニューを運んで来てくれる。

「ありがとうございます」
「はい、ごゆっくりどうぞ」

店員さんの笑顔に癒されながら、俺はフォークを手に取る。

出された食事のおいしさにすっかり夢中になってしまった俺たちは、それから高校の話に戻ることはなく、そのままデザートの時間になった。

「お待たせいたしましたー」

ナオ君が注文したのは、ケーキプレートのようだった。『チョコレートフェア』と言うだけあって、ケーキの上にチョコソースがかかっていて、おまけに継ぎ足し用のチョコソースもおかれている。

「はい、セリさん」

そんな風に観察しながらコーヒーを飲んでいると、ナオ君がフォークにケーキをさして差し出して来た。

「でも、ナオ君…」
「大丈夫です。ここならチョコレートかかってませんから。食べたいのに我慢はいけませんよ?」

にっこりと笑いながら差し出され、俺は嬉しくて泣きそうになった。

ナオ君の優しさは、あったかい。

友達なんて、いたことがなくて。こんなふうに気を遣ってもらえるのが、むずがゆくも嬉しいんだ。

「……ありがとう」





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