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どんなに頑張っても、がむしゃらに働いても。

帰ってくるどころか、顔も見れなかった両親。そんな親の気を引こうと頑張っていたのだから、僕はずるい。

でも、ヤナギさんはそんなところも全部分かって、僕を褒めてくれる。

嘘を言わない、同情なんてしないヤナギさんの言葉だから信じられる。心からの褒め言葉なんだって。

僕のことを、ちゃんとみてくれてるんだって。

「動くぞ」
「はい……っ、めちゃくちゃになるのが、いいです」
「―――後悔すんなよ」
「ん、んぁっ!!あぁ!」

舌舐めずりをする、獰猛な雄。そんなヤナギさんに支配される感覚が、すごく好きだ。

宣言通りめちゃくちゃにされて、僕は縋りつくのが精一杯だった。それでも、背中に回ったヤナギさんの手が優しいから、たまらなくなる。

「ヤナギさ…ヤナギさんっ!」
「雪……、気持ちいか?」
「はい、も、もっとっ!」

もっと、僕を抱いて。

乱暴にして欲しい。僕を、作り変えてほしい。


あなたの腕の中なら、もっと好きな自分になれる気がするんだ―――




―――そうして、嵐のような行為が終わると、僕はヤナギさんの腕の中で目が覚めた。

ヤナギさんは、行為が終わっても僕を1人にしたりはしない。どんなに組の召集があっても、このときだけは、僕を優先してくれる。

僕を一番にしてくれる、そんな経験、今まで無かった。

だから、これが夢だったら、僕はきっと壊れてしまうだろう。甘美な幸せの後の闇ほど、こわいものはなくて。

「―――雪?」
「先に起きちゃいました。おはようございます」

僕が寝顔を見つめていると、ヤナギさんの切れ長の目が眠たそうに開いた。笑顔であいさつすると、無条件で腕の中に抱きこまれる。

「朝飯はいいから、まだ寝てろ……」

言うが早いか、また眠ってしまったヤナギさんに、小さく笑う。朝が苦手だということを知って、可愛いと感じた僕は末期かもしれない。

僕は大きく頷くと、ヤナギさんに自らすり寄った。

ヤナギさんの前で、僕は無力な子供だ。本当の子供の時にできなかった、無条件に甘えることや、すべてを委ねることを、ヤナギさんは全部許してくれる。


ヤナギさんでなければ意味がない、この行為。


最初に見たものを親だと思う、ヒナの刷り込みだろうか。


ううん。きっとヤナギさんに出会ったのがあのバーでも、きっとこうなっていただろう。


だから、きっと―――



多分、きっと、これは運命だと思う。






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