決まらない(+ユウキ)



―――こんばんは、ユウキです。

挨拶だけは敬語で、後は面倒なので適当に行きます。

本編では特記されてないが、ヒナの家にはなんだかんだで週の半分は泊っている。

もちろん、コトに及んだことも何回かある。というか、俺が唯一タチでセックスできる相手を逃すわけがない。

そして、前回抱いてて気づいたんだが、ヒナは腰がエロい。

ガリガリのきらいさえあるアイツなので、例にもれず腰も細い。ちょっとくびれちゃってる感じとかオンナかっての。

そのくせ―――妙にやわらかい。

おそらく筋肉をつける、ということをしてこないままだったので、男特有の固さが全体的に少ない。

腹筋など鍛えて割る人もいるのに、アイツに至ってはおそらく腹筋をすることすらできないだろう。

どれほど柔らかいのか、今日はそれを検証するため、夜食を作っているアイツの後ろに回り込み、後ろから腰をギュッと握ってみた。

「ぅひゃっ!?」

くすぐったがりのヒナは驚いたように奇声をあげると、飛び上がって俺から逃げる。感度のいい奴は大体くすぐったがりなのでここまでは想定内である。
「何するんですかっ!!くすぐったいですよ!」
「いや…ちょっと腰触りたくなって。二人でいるときしかできないじゃん?」

そして、最近生意気に口答えするようになってきたヒナが怒るのも想定内。そして、今しかできないんだ、と泣きにかかれば恥ずかしいながらも我慢して頷くのだ。

「そういうことでしたら、触ってもいいですよ。くすぐったくない触り方教えてあげますし」
「………ん?」

しかし、無駄に晴れやかにそう言われ、俺は目を丸くした。

これは……想定外。

「あのですね、指先に力を込めて触っちゃだめなんですよ。手全体で触ってください。あ、でも僕はそれでもくすぐったいので―――僕のおさえている手の上から触ってください」

そういうと、ヒナは自分の腰に手を当て、『さぁ早く!』と言わんばかりに俺をきらきらした目で見つめてくる。

結構力を込めてやっているのか、親指の爪が少し白っぽくなっていた。

「これ、前の職場でバイトの大学生に教えてもらったんです。力こめて自分の手で触ってる上から触ってもらって自分の腕を引きぬくと、あんまりくすぐったくないんですよー」
触るのも強めにどうぞ!と言われ、俺はあまりの予想外っぷりに頭を抱えたくなった。

想像では、『やっ』とか言って恥ずかしがりながらもくすぐったさに耐えるヒナを焦らしまくって、そのままベッドインする予定だったのに。

もう一度、腰に手を当ててキラキラしているヒナを見る。

俺は観念して、念願のその腰に手を伸ばした。


――――1つ言わせてほしい。



決まらねー!!!





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