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「あぁ…」
「なんつー声出してんだよ、変態」
「だって……」
湯の中で、雪の身体がどんな反応をしているのか等一目瞭然だ。それでも焦らしてやろう、といたずら心のままに触っていると、雪はグッと唇を噛んで耐えていた。
細い腰から、撫であげるように脇へ。へその穴を軽く弄って、そのまま背中の肩甲骨を楽しむ。
雪は、震えながらも我慢していて、俺はふっと雪の顔を見た。そうして、言いようのない満足感を感じる。
「―――――…やなぎさ……っ」
期待に満ちた、いやらしい目。赤い頬、濡れた瞳。
俺と目が合うのを待っていた、と言わんばかりにそんな視線を向けられて、俺は理性が焼き切れるのを感じた。
抱き寄せるようにして唇を貪っていると、雪が俺の背中に腕をまわしてくる。
バシャバシャと水しぶきが上がる音を聞きながら、もつれるように浴室を出て、俺たちはベッドで抱きあった。
抱き合って、抱きしめて。尽きることのない魅力にますます夢中になった。
この体が、俺のものなのだ。
だれにも渡したりはしない、俺を夢中にさせるのだから、俺以外に目を向けないでほしい。
手に入れた喜びと、幼稚な独占欲は、少しも色あせることはない。
だけど、もしこの日を懐かしめるほどの長い月日を、雪とともに歩めたなら。
―――これ以上幸せなことはないな、と想像して小さく笑った。
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