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複数人の声がして、俺は教室の前で息を潜める。
すると、さらに新しい声が響いた。
「あ、でもカバンあるじゃん。もうすぐ帰って来る前に、やるか」
「よっしゃ、チャッチャとやるぜ」
―――コイツら、もしかして……
俺は勢いよく、教室の扉を開けた。
中には4〜5人の不良が居て、彼らの手には俺達の作った作品がある。
「……何、してる」
今まさに壊そうとしていた――そんな場面に遭遇し、俺は怒りに言葉を震わせた。
無事だった分まで踏みにじろうとするのか。そうやって――俺らの努力をムダにするのか。
そんな怒りを込めて睨みつけると、不良の一人が俺に向かって持っていた看板を投げつけてきた。
「んだよっ!見てんじゃねーぞっ!」
ガンッ、と激しい音がして、看板が俺にぶつかる。
木製の看板は重たく、角をぶつけた頭から血が伝うのを感じた。
「……今朝のも、お前らの仕業か」
すっかり頭に血が上っていた俺は、看板を横に置くと不良達に詰め寄る。
すると、不良の一人が、馬鹿にしたように笑ってこういったのだ。
「――だったらどーすんの?」
「――――っ!!」
質問を肯定され、俺は怒りに任せて相手を殴ろうとした。
しかし、見ていた周りの奴らが見逃す訳が無く、拳が届く前に羽交い締めにされる。
「放せっ!放せ――ぐぁっ!!」
怒りで理性を失っていた俺に、容赦無く拳の雨がふる。
時々投げ飛ばされ、教室の机でしたたかに打ち付けられて、また殴られた。
「――馬鹿だな。俺らのターゲットは最初からお前だよ」
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