胸がギュッとなるようだ




呟きに声が返ってきて、俺はハッとする。

「あ、ゴメン委員長寝ながら何か言ってたのか」

起きたかと思って声かけちゃった、と笑われ、俺は自分が寝ていたことを知った。

いつぞやの英語を教えたクラスメイトが心配そうに見ていて、俺は慌てて謝る。

「……ごめんっ、忙しい時なのに、俺…っ」
「いーって。毎日バイトで疲れてるんだろ?委員長頑張ってくれてるし、誰も責めたりしてないよ」

そう言いながら、俺の胸の辺りを指差す。そこには誰かのブレザーが掛かっていて、ますます申し訳なくなった。

「それの持ち主、今日は帰っちゃったからさ、明日ちゃんと渡してやってくれよ」

そう言われ、胸ポケットの辺りの刺繍を見る。

―――『TAKIMOTO.K』

「……たきもと…っ」

瀧本の名前を見つけて、泣きたくなった。

愛しいってこういうことなんだ、と身体で感じる。

突き放してしまった俺だけど、瀧本への愛しさは増すばかりだ。

ギュッ、とブレザーを抱きしめていると、クラスメイトの一人が口を開いた。

「――なんか委員長可愛いね」

予想外の言葉に顔をバッと上げれば、『それ思ったー』と賛同の声が上がって来る。

「なんか純粋に守ってあげたくなっちゃうね」
「普段なんでもこなしちゃうからなー」
「ギャップ?」
「ちょっ…そんな……っ」

口々に言われ、顔を赤くすればさらに笑われる。

俺がうろたえてばかりいると、目の前にいた彼が口を開いた。





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