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※いじめっ子(二重人格)×いじめられっ子/やってるけどそんなにエロくない
―――私には昔の記憶が無い。
大学生の時に交通事故にあい、右足の自由とそれ以前の記憶を失ってしまった。
それでも、私はなんとかリハビリと勉強を続け、26歳になった今では、普通に生活を送れるようになった。
仕事は忙しいものの、毎日充実しているし、特別不自由を感じることはない。
たまの苦痛と言えば、雨の日に疼く右足と、過去の友人との再会だ。友人などは私を見て『以前と全然違う』と目を丸くする。
以前の自分がどうだったかなど、知らない。どんなに頑張っても思い出せない。
だから、過去の話をされると少し苦しい。
友人が私を見てそんな風にいうことは、少し苦手で、自然と同窓会も疎遠になっていった、そんな日のこと。
「―――真鍋?」
―――私の目の前に、偶然、齋藤尋人と名乗る男が現れたのだ。
齋藤さんは、私の高校時代の知人だと名乗った。
正直、そう言われて気乗りしなかったが、あまりにも笑顔で再会を喜ばれたため、事情を話したうえで飲みに行くことになった。
齋藤さんはとても気さくで、私は久々に饒舌になった。過去の知人に感じるようなわだかまりは一切感じず、私の話に笑顔で耳を傾けてくれる。そのくせ盛り上げ上手で、本当に話が上手な人だと思った。
だから、いつも以上にお酒が進み、年甲斐も無く酩酊してしまったのだ。
そして、痛む頭に顔をしかめながら目を開ければ、裸の齋藤さんが私の上に乗っていた。
「よーやっとお目覚めかよ、真鍋クン」
「……え?」
突然のことに思考がまとまらない。薄暗い部屋を見渡せば自分の部屋ではなく、おそらく齋藤さんの部屋なのだろう。
齋藤さんは私の上に馬乗りになり、せわしなく腰を揺らしている。連動する快感に恐る恐る視線をおろせば、そこは齋藤さんを深々と貫いていた。
「…反応ねぇし、どうしてやろうか迷ったぜ。ま、起きたしここからが本番だな」
「な、何を、」
思わずとび起きようとする私を、齋藤さんは力ずくで抑え込む。これではどちらが犯されているというのか。
自分より華奢だと思っていたが、齋藤さんはとても力が強く、全く歯が立たない。私の両腕は頭の上で一つにまとめられ、上から見下ろす相手の顔を見つめることしかできない。
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