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「じゃあ、自分でオナニーしろよ」
「っ」

てっきり灰音くんがしてくれると思っていただけに、驚いて灰音くんを見る。しかし、灰音くんは相変わらず笑ったまま、僕の全裸を見つめているだけだ。

それでも、そばで感じる灰音くんの息は荒く、興奮しているのが分かる。僕は灰音くんの息遣いを聞き、耳から犯されるような感覚を味わいながら、自分自身に手を伸ばした。

「…んっ、んんっ」
「へー、そうやるんだ」

まじまじと観察され、僕はますます興奮してしまう。ぞくぞくと背筋が震え、口からは涎が溢れた。

「へ、へん…?」

しかし、誰にも見せたことのない秘めた行為のため、何か仕方が間違っていたのかもしれない。そんな一抹の不安から問いかけると、灰音くんは僕の頬を撫でて笑った。

「いや、おかしくない。…どこが気持ちいいか教えてよ」
「…ん、裏筋、とさきがきもちいい…っ!」

口にするたび、快感が確信に変わる。ふわふわとした穏やかなものではなく、明確な形を持ち、僕を内側から焦がす苛烈な凶器。そんな快感を自らたぐり寄せて行く感覚に、僕はあっさり上り詰めて行く。

「ふーん、裏筋と先ね…どう気持ちいい?」
「こう、擦りあげると…っ、ぁ、腰の奥が痺れて、じんじんして…っ、ん、んっ」
「じゃあ、先擦ったらどうなるの?」
「さ、さきっぽこすったら…っ、せーえき、せりあがって、くるっ」

灰音くんの目を見つめながら、自分の気持ちを素直に口にする。

もっと見て欲しい。もっと意地悪な言葉で、僕をなじって欲しい。

自分の中に、こんな欲が溢れているなんて知らなかった。自分を見て欲しいなんて、考えたことすら無かったのに。

いや、見ないで、なんて本当は思っていなかった。

不快な思いをされたくないから、隠していただけだ。

本当は見て欲しい、当たり前に視線を合わせて、会話だってしたい。

だから、嫌わないでくれるなら、興奮してくれるなら―――建前も予防線も、もういらない。

「内股もビクビクしてるね」
「うんっ、あぁっ、そんなだめ」

灰音くんが、僕の内股に触れた。そして、膝の方からゆっくりとつたいあげるようにして、僕の中心へと近づいていく。

このまま近づいたら、僕の性器に触れてくれるのだろうか。そうしたら―――きっとものすごく気持ちいいに違いない。

「あっ、あぁ―――っ!」





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