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俺は未だに考え込んでいる様子の彼を見ながら、いたずら心がうずくのを感じた。ニヤッと笑うと、俺は彼の首筋をつぅっと撫でる。

「ここに、おいしそうな血液が流れてるじゃねえか」
「…………っ!」

彼は真っ赤になると、首をおさえて恥ずかしそうに身を引く。その姿に、吸血鬼というより獣の部分がうずいた。

しかし、それを俺はなけなしの理性で抑え込む。せっかく家まで運んでくれて解放してくれていた相手に、恩をあだで返すようなことは出来ないからだ。

俺はそっと手を離すと、ぐぅっと伸びをして笑った。

「―――うそうそ、しばらく寝せてくれたら俺出ていくから気にすんな。拾ってくれて、サンキューな」
「……首は、嫌だ」

だが、彼はそういったかと思うと、おもむろにジーンズを脱いだ。突然のことに目を丸くする暇もなく、下はボクサーパンツ一枚になってしまう。

「明日、実習だから見えるところはやめて欲しい。…ここなら、太い血管もあるし、人に見られないから」

ここ、と指さしたのは彼の下腿。普段日にさらされることのないそこは透き通るように白く、思わず喉が鳴る。

彼の指が、そのまま太腿を撫で、柔らかさを主張するように食い込むのを見て、俺は理性が崩壊する音を聞いた。

彼をベッドに引き上げると、引き倒してその白い下腿に唇をそわせる。二つの鋭い犬歯が純白に赤を呼びこみ、甘露が俺の口に流れ込んでくる。

俺は夢中で喉を鳴らし、それを飲んだ。久しく感じられなかった味に、ワインよりも激しく酔ってしまう。

想像通り、いやそれ以上の甘露。彼がこんなに無防備なことに不安を覚えたが、今だけはそのことに感謝した。

「………はぁっ、やっ、なに、コレ」

大学生が、困惑したように呟く。ふと顔をあげればその顔は真っ赤に染まり、うるんで俺をじっと見守っていた。

「…血液にも相性ってあるんだよ。相性が良ければうまいと感じるし、吸われていると馬鹿みたいに気持ちいい。だから別に変じゃねえよ」
「や、でも…恥ずかしいよ…っ」





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