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「ん……っ」
「息吐いて…そう……っ」
「せんせ、せんせ…」
酸素を求めるように先生の名前を呼びながら、俺を抱きしめてくれている先生の腕をギュッと握る。
「凛太郎君…つらくない?」
辛くない、嬉しい。
それなのに、涙が溢れてくる。
先生の手は、こんなときでも大きくて。撫でられてしまうと胸が苦しくなる。
あの、傷薬を塗ってくれた手は、こんな時も優しい。
先生の優しい顔が見たいのに、涙で滲んで何も見えない。
「せんせ…傍にきて」
「うん」
ねだるように言うと、先生は何でも叶えてくれた。顔をグッと近付けてくれて、涙を舌でなめとってくれる。
ちゅ、と目じりを吸われるとくすぐったくて、俺はちょっと笑ってしまった。
「どうしたの?」
「くすぐったくて…先生のほくろと同じところに、キスしてもらえて」
そういいながら先生の目じりのほくろを撫でると、先生は少しはにかんだように笑った。
「俺のほくろ、凛太郎君好きだよね」
「うん、先生の目、優しいから」
つながったまま、先生の熱を身体の中に感じて、俺は満たされていくようだった。
動いて欲しくて、後ろにギュッと力を入れてみると、先生が驚いたように『くっ』て短く声をあげた。
「動いてよ、先生」
「……しょうがないな」
先生は呆れたように言うと、優しく腰を動かし始めた。
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