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※先生×生徒。微ショタ
もう嫌だった。子供でいることが嫌だった。
「―――先生、俺を大人にして」
家に先生を招くと、俺は先生の前で裸になった。先生は突然のことに目を丸くして、優しい瞳に困惑の色を浮かべた。
「凛太郎(りんたろう)くん、それはダメだよ…」
「どうして?」
俺は意味が分からない、というように呟くと、座っている先生の膝の上に乗った。大事なところが先生の身体に触れ、先生がますます困ったように身じろぐ。
それでも俺の腕を振り払えないのだから、先生は優しい。
優しいから、俺みたいなのに使われて可哀そう。
「君、まだ小学生じゃないか」
「もう卒業したし、あと2週間もしたら中学生だよ」
「それでも、俺は君を抱けない」
「先生はさ、頭がいいから俺を思春期特有のアレじゃないかとか、これだって思ってるんでしょ?―――そうじゃないんだけど、大人にしてくれるならそう思ってくれていい」
俺はそういうと、先生の唇にキスをした。
初めてのキスは唇が触れる瞬間心臓が破裂しそうなほどどきどきしたが、先生の唇の柔らかさがたまらなかった。
覚えたてのキスを二度三度繰り返すと、先生にもう一度言葉を紡いだ。
「今だけ、間違いでもいいから―――俺に愛を教えて」
『―――ねえ、いつ俺は大人になれるの?』
夕方の小学校で、俺は先生にそう聞いた。
先生はいきなりのことに戸惑っていたようだったが、俺は純粋な好奇心で聞いていた。
『うーん…本当に大事な人ができて、その人を守りたいって思ったら大人なんじゃないかな』
『先生もいるの?そういう人?』
『うん、凛太郎君とか。あと、学校のみんなかな』
柔らかく笑う先生の傍は、どきどきした。
ほっこり心が温かくなって、くすぐったくて顔が熱くなってしまう。椅子の上でじたばたしたくなるような感覚が、俺は嫌いじゃなかった。
少し垂れた優しい目の傍に、小さいほくろが二つ。
先生は、かっこいいと思う。俺たちの担任になってくれて、他のクラスの子が悔しがっていたのを覚えている。
そんな先生が、今俺の胸に顔をうずめている。
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