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言われた言葉を処理するのに、少し時間がかかった。

まさか、コイツは。

俺の遊びで出来てしまった子供の―――

「………郁(いく)?」
「さすがに息子の名前覚えててくれた?忘れられてたらこのまま殺しちゃおうかと思った」

無邪気な笑顔が、逆に怖い。郁はにっこりと笑いながらそういうと、俺の服を無理やり脱がし始めた。

「おい!郁やめろっ!」
「覚えててくれて嬉しいけどさ…この状態で解放すると思う?俺―――絶対許さないから」

ゾクリ、と恐怖で震えた。

本当に俺を恨んでいるような、冷たい目。拘束されていることよりも、その視線に射抜かれたことが俺の自由を奪った。

「はは、怯えてるね。―――大丈夫、あんたちょっと酷いことしても気持ちいいんでしょ?」
「――――いって!」

郁はそういうと、裸になった俺の身体に乗り上げて身体を愛撫し始める。いや、愛なんてないか。

首筋、鎖骨、身体のいたるところに噛みつかれ、歯形をつけられる。血がにじむほどの刺激を受けて、俺の身体はいたるところに赤い斑点ができた。

「汚い身体が、これでやっとマシになったね。―――ま、特別こっちも気持ち良くしてあげる」
「やめろっ!」

俺自身を握られ、俺はさぁっと青ざめた。

「…そ、そこは、か、噛むな……っ」

カタカタと情けなく震える俺に、郁は呆れたように笑った。いささか乱暴にしごかれながら、耳元で冷たく囁かれる。

「それもいいかもね…と思ったけど、する訳ないじゃん。馬鹿じゃね?」
「はぁ……っ」

噛まれない、と聞いて安心したのと、直接の刺激が気持ちいいのとで艶めいた声が出た。

俺の身体から力が抜けたのに郁も気づいたのだろう。

熱を持ち始めた俺の分身を、絶頂に導くように強引に攻め立て始めた。

「はぁ…あぁっ、んぅ」
「こんなのでも気持ちいいんだ。…分かっていたけど、やっぱり最低だね」

そうだな。本当に最低だ。

快感に流された身体には、攻めるような言葉も俺の背徳感を煽り、興奮材料になっていく。





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