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「…口でそんな顔するなよ。もっと天国見せてやるから」
「ちょっ!先輩っ!」

中村先輩はスラックスを脱ぐと、俺の上にまたがったのだ。それが何を意味するかなんて思春期の中学生でもわかる。

「ン…、くっ」

思わず、ずぶずぶと先輩に埋め込まれていくムスコを凝視してしまう。先輩の声は抑えてはいるが苦痛がにじんでいる。

男同士の性行為が簡単ではないことは理解している。―――先輩がいくら慣れているとはいえ、いきなりの挿入が苦しくないわけないのだ。

「先輩…きついなら抜いてくださいよ」
「はっ…無理」

鼻で笑う先輩の尻と、俺の腰が完全にくっつく。それが言いようのない快感になるのは、先輩の中がギュウギュウ締め付けてくるくせに湿ってやわらかいからだ。

「ふっ……入った」

なじませるように身体をゆさゆささせながら、先輩は不敵に笑った。額には汗がにじんでいて、それを舐め取りたい衝動にかられるあたり、だいぶ彼の色香にあてられているようだ。

「俺、オマエ前から狙ってたんだよね。ガタイいいし、ムスコは想像以上だ。…ま、彼女がいたから遠慮してやってたけどな」

そう、俺には将来を誓い合う彼女がいた。でも、俺の仕事に夜勤が入り、忙しくなるにつれて心が離れていき、ついに『他に好きな人ができた』と振られた。

そんなありきたりな失恋から三カ月。やっと傷が癒えてきたところをさらにえぐるのかこの人は。

「あんな女に勃起するなら、俺なんて余裕だろ?」

さすがにそれにはカチンときて、俺は思わず腰を動かした。

俺が嫌いになったわけではないのだ。それなりに長く付き合っていて、結婚まで考えていた相手をそんなふうに言われて怒らないわけがない。

「―――中村先輩、違うでしょ?」

だから、ちょっと怒気をはらんだ声でそう言ってやった。

「違わねえよ」
「ウソツキ」
「っ、あぁ!」

不敵に笑う顔を崩してやりたくって、動きにくいのを無理して突き上げてやる。まだ完全になじんでいないのか、苦痛にゆがんだ顔にさらに汗が浮かんだ。


「違うでしょ―――アンタは俺が好きだから、嫉妬しているんだ」





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