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※痴漢→青姦
新年の過ごし方なんて数年間変わっていない。
幼馴染の真下(ました)とその家族と年越しそばを食べ、年明けと同時に近所の神社に向かう。
俺の家の近くにある神社はこのあたりでは一番大きな神社で、地元中の人がこぞってやってくる場所である。
「セナ、遅れんなよ」
「わーってるって」
真下にからかわれながら俺は神社の階段をのぼっていく。その時点ですでに人があふれていて、幼いころは真下と手をつながなければはぐれてしまうほどだった。
さすがに高校生にもなってそんな恥ずかしいことはできないので、人よりも背の高い真下において行かれないように必死で足を動かした。
「げ、この行列向こうまで続いてんのかよ」
「みたいだね。おとなしくいこうか」
階段をのぼり終えると、そこは人であふれかえっていて俺は内心うんざりする。寒さの中で人にもまれるのは不愉快だったが、真下とくだらない話をしながらそんな感情をごまかした。
「あ、真下君」
「おー佐伯じゃん」
「セナ君も、明けましておめでとう」
そんなこんな話していると、真下の彼女の佐伯さんがやってきた。友達とおみくじを引いていたらしいが運悪くはぐれてしまったらしい。
「じゃあ佐伯さんも一緒に並んでようぜ。どうせ今携帯つながらねえんだろ?」
「そうなんだよね。…一緒にいても邪魔じゃないかな?」
いや、むしろ俺の方が邪魔だと思う。そんな言葉を呑み込んで俺は笑ってうなずいた。
佐伯さんと真下ははたから見ても落ち着きのあるお似合いカップルで、俺は二人の仲睦まじさに何度かむず痒い思いをしながら一緒に過ごしていた。
そんなとき。
――――ん?
気のせいかと思った。しかし明らかな意思を持った誰かの手が俺のコートの上から俺のケツを撫でている。
……痴漢かよっ!
人生で初めて経験する痴漢(しかも俺男なのに)に、俺は内心混乱していた。
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