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「……あの、写真消してくださいよ」
「よく撮れてるのに、もったいないよ。それよりちょっとドライブしない?」
「撮れてるとかの問題じゃないんですよ!」
「えーそうなの?じゃあこうしようか、ドライブ付き合ってくれたら写真消すの考えるよ」
「……っ、」

そういわれて、俺は反抗するすべを失ってしまった。おとなしくなった俺の頭をそっと撫でて変態は微笑む。

「…ふふっ、セナ君ってどうしてこんなに俺好みなのかなぁ」
「うっさい」
「その反抗的な目も好き。…さ、行こうか」

せめてもの抵抗ににらんでみたのに、さらりとかわされてしまった。そのまま自然な所作で手を引かれ、近くに停めてあった車に乗せられる。

「ドライブって言っても15分くらいなんだけどね、海岸線通ろうか」
「…どうでもいいです」
「そんな事言わないで。きっと見たら興奮するんじゃない?」

シートベルトを締めるように言われ、助手席でもぞもぞしているとそんな風に話しかけられる。

―――騙されちゃだめだ、こいつは変態なんだ…っ

「興奮しません。夏みたいに泳げるわけじゃないのに」
「そんなことないよ。今日は天気もいいし、地平線見えてきっと綺麗だよ」

にっこりと無害そうに微笑まれても、俺には不信感が募る一方だ。おもわず胡乱げな視線を向けても、変態はどこ吹く風でニコニコしている。

「さて、行こうか」

変態はそう言うと車のエンジンをかけ、そのまま車を発進させた。

結局宣言通りに海岸線をドライブして(悔しいけど確かに海に少し興奮した)、ついた先には小さな家があった。

「さぁ、入って」
「……はい」

逆らったら写真は消してもらえない、そんな気持ちで自分を奮い立たせて背中を押されるままに部屋に入る。

入ってすぐに小奇麗なリビングがあって、俺はそこのソファーに腰掛けるように言われる。

「はい、どうぞ」

するとすぐに紅茶が出され、俺は目を丸くして変態を見た。





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