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「合図をしたら入ってきてください」
「はい」

教室に着くまでにそんな説明を受け、いよいよHRの時間になった。

こんなところでも転入生への対応は他の学校と同じなんだな、と妙な感心をしていると、先生から合図があったので俺は教室に入る。

教室の扉を開ければ、当たり前だが教室の中には男子だけだった。

どこかの実験か何かだったと思うが、女子は共学でも成績に変化はないらしいが、男子は男子校の方が成績が良くなるらしい。

星麗学園に姉妹高校の女子高があっても共学にしないのはそういう理由なのだろうか、とぼんやり考えながら教室を見回し、俺は小さく頭を下げた。

「―――藤川廉です。よろしくお願いします」

俺の紹介に、クラスの奴らは何も言わなかった。極端に短く、反応に困る内容だった自覚もあるので想像通りだったのだが、先生は少し気まずそうに『じゃあ…窓際のあいてる席に移動して』と言ってきた。

そうしてHRが終わると、学生たちは仲のいいクラスメイト達と談笑を始める。

進学校だと口を酸っぱくして言われていたが、こうしてみると普通の高校と大差ないようだ。

俺に対して『どう接していいかわからない』、という雰囲気を出しながら誰も触れてこなかったので、俺は支給された新品の教科書を開いて授業の準備をすることにした。

「―――へぇ、もう教科書あるんだ?」

そんなとき、隣にいたヤツに声をかけられた。

相手を見れば、ちょっとつり目気味で、でもワイルドな感じの中々のイケメンだった。

ちょっとこんな雰囲気の学校にはいない雰囲気だったので驚きながらも、俺は頷く。





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