11




俺の横にある翼の手を振り払うと、俺は翼をにらみつける。

「これは、俺の問題だ」
「―――他人を巻き込むのは嫌い?」
「巻き込む意味がないからな」

そうだ、このいさかいに翼を巻き込む意味はない。このいさかいは俺と、俺以外との対立だから、そこに中立である翼が無理に絡む必要はないのだ。

「……廉は強いね」
「強くなんかない」
「強いよ。……そうやって、何でもできる強さがあるから、今まで自分で解決してきたんだろうね。だから―――孤独なんだ」
「――――――っ」

翼の言葉に、胸がひきつれた。

その違和感に耐えるように、ギュッと手を握りしめる。

――――確かに、俺は、孤独だ。

それは、認めるしかない事実だ。この学校での話をしているのではない、これまでの人生もそうだ。

―――だって、俺の進む道は、1人でしか進めない。誰かを蹴落とすことでしか、開けない道なんだ。

その道を選らんだのは、俺自身なんだ。だから―――胸が痛む理由なんてない。

俺は握りしめた手を離すと、翼に向けて口を開く。

「孤独で悪かったな。でも、俺は1人も嫌いじゃないんでな」
「強いけど、強がりもするんだね」
「余計な御世話だ」

翼と話していると、調子が狂う。本当に、俺のことは何も見えていないのかと疑いたくなるくらい、確信をついてくる。

「他に言うことが無いなら行くぞ。あいつらも戻ってくるしな」
「そうだね。―――もし行くなら、図書室から右に行くといいよ」
「右?」

翼は俺の質問に対し『そう』と頷き返した。

「そっちに行ったらアイツらがいるとかじゃないだろうな?」
「まさか。俺、嘘はつかないよ」
「なら、ありがたく信用させてもらう」
「どうぞ」





[ 28/36 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



TOP


第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -