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―――勉強は、嫌いじゃなかった。
赤ペンでもらうたくさんの丸も、100点の文字も。
問題が解ければすっきりするし、なにより褒めてもらえる。
でもいつからだろう、その感情にいろんな不純物が混じり始めたのは。
自分の成績を見せれば、『自慢だ』と嫌そうに顔をしかめられる。
―――いつからか、100点の数字が書かれたプリントの右はしを折って隠すようになった。
テスト期間だけ『助けて!友達でしょ?』とカンニングをねだる都合のいいクラスメイト。
―――いつからか、休み時間は息をひそめ、誰にも話かけられないことを祈るようになった。
苦しくて、息ができなくて。
同じような境遇の子が多いと信じて星麗学園を目指した。
入試に合格したら、みんな褒めてくれた。
僕も誇らしかった。
でも、街中で楽しそうに集団で下校する子たちや、制服を着崩して女の子と一緒に帰っている元同級生を見るたび、息苦しさは消えなくて。
―――この息苦しさは、いつになったら消えてくれるんだろうか?
いつになったら報われる?いつになったら楽になれる?
弱い僕にはもう、時を数えることしかできないんだ―――
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