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そんな無言の膠着状態が、一週間ほど続いた後のこと。

「藤川、帰ろうか」
「あぁ」

いつもの授業を終えると、栗林が声をかけてくる。

俺は鞄を持って教室から出て行こうとすると、やんわりと栗林に止められた。

「今日ちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいか?」

栗林がそういうので、俺は戸惑いながらも頷く。栗林に塾はいいのかと聞くと、『今日は休み』と言われた。

言われるがままについていけば、そこは空き教室のようだった。普段は使わない視聴覚教室で、俺も最初に学校案内で通った時以外は来たことがなかった。

「藤川さ、だいぶ学校に慣れてきただろ?だからそろそろ歓迎会したいって考えてたんだ」
「そうなのか」

なんとリアクションをしていいかわからなくて、俺は微妙な顔になってしまう。

すると、視聴覚教室からけたたましい音が響いてきて、俺は目を丸くした。

「な……っ!」
「あーあ、もう始めちゃってるのか。待っとけって言ったのになー」

俺の驚きを横目で見ながら、栗林はそんなことを言う。その間にも、机がぶつかるようなガタンガタンという音が断続的に響いていて、俺は言葉を失くした。

まるで驚いているようすのない彼に、俺はどういうことだと視線を送る。

「言っただろ?歓迎会だ」
「……悪いが帰る」
「ダメだろ主役が居ないと。―――今日は藤川が、本当の意味で2‐Cのメンバーになる日だ」
「別にオマエらに認められなくったっていい。俺はクラスで1人になっても大丈夫だ」
「中も見ないで尻尾巻いて帰るか?」
「それの何が悪い。防衛本能だ」
「―――グダグダ言わずに、さっさと入りなよ」

スッと冷たい視線になった栗林に、俺は一瞬おののく。その一瞬を見逃さなかったように、栗林は俺を視聴覚室に押し込んだ。

「―――――っ!」

そこで見た光景に、俺はスッと身体が冷えて行くようだった。

クラスメイトが全員集まっている。そう、翼も含めた全員。

翼を囲むようにして、他のクラスメイト達が集まっていた。机を支えになんとか身体を起こしている翼の息はもう絶え絶えで、限界なのを訴えている。

―――見た目に変化はないが、先ほどの音などから翼の服の下があざだらけになっているのは明白だ。





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