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───いつものようにレッスンをすると、俺はふと息を吐いた。
今日は土曜日。
仕事がなかったナオは真っ先に俺のレッスン室に来るといきなり窓を開け放して出て行ってしまった。
空気の入れ換えにも、突然のナオの侵入に馴れた自分に嫌気がさしながらも、窓の外から流れ込む清涼な空気につい許してしまう。
いつものようにコーヒーを飲もうと思って下に降りたが、今回はいつものようにナオが付きまとってくる気配はなかった。
それが妙で、わざとらしく足音を立てながらおりてみたがナオが来るようすは無い。
気にする程のことではない、と自分に言い聞かせながらコーヒーをいれると、そのまま二階に戻ろうとする。
「…………チッ」
そのまま戻ればよかったのに、俺のスリッパが勝手に一階をさまよい始める。
自分がしている行為がとても馬鹿らしいことだと、頭では理解しているのだが、身体はナオを探し回っていて。
それがヒドく癪なのに、姿の見えないナオを見つけないと不安でしかたがなくて。
そんな葛藤は、あっさりと終わった。
「……寝てんのかよ」
ナオは一階の部屋の一つで眠っていたのだから。
掃除の途中に疲れてしまったのかもしれない。
箒や雑巾が置かれた部屋のソファーにもたれかかった状態で、ナオは静かに眠っていた。
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