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「よぉ、来たな。――酌しろ」
「はい」

熱燗を見せられ、僕は隣に腰を下ろすと言われた通り酌をする。杯に注ぐたび、そこからアルコールの匂いが漂ってきて、相当強いお酒であることがうかがえる。

こういうのばっかり飲んでいるから、お酒に強いのだ。

「……手、見せてみろ」
「あ…」

熱燗を傍に置いていると、そういうとともに掌を引っ張られる。

突然のことに目を丸くしていると、ヤナギさんは僕の指を観察し始めた。

「…しもやけ、アカギレ、さかむけ……汚ねえ手だな」
「放っておいてください」
「そうもいかねえな。結構気に入ってるんだよ、お前の手」
「あっ」

ヤナギさんは絶対酔っている、それは断言できる。

だって、そういったかと思うと、僕の指をいきなり舐めたのだ。突然のことに手を抜こうとしても抜くこともできず、僕は染みるような痛みに耐えるしかなかった。

「……オマエには、汚いそばかすも、ぼろぼろの手も、お似合いだよ」
「綺麗になりたいとは思いませんけど、ちょっと失礼ですよ――っ、ぁ」

指に歯を立てられ、意図的にやらしく舐められ、僕はびくりと震える。

「…オマエ、快感に弱いよな。―――ヤろうぜ」

そういうが早いか、ヤナギさんは杯を置いたと同時に僕を押し倒した。

「あ、あの僕お風呂まだで―――んっ」
「黙れ」

そういうが早いか、ねっとりと唇を重ねられ、僕は満足に抗うこともできないまま、ヤナギさんに暴かれていく。

「上の命令は、絶対だろ?」

その言葉を聞いて、僕は観念したように目を閉じたのだった―――





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