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「―――よぉ、浮かない顔してんな」
―――あれから一週間。
結局僕は新しく朝に新聞配達のバイトを始めていたが、思うように働けないでいた。
貢がせる、と言われたって、僕にはそんなことを頼める人はいないし、ヤナギさんのいいなりにはなりたくない。
それでも時間は刻一刻と過ぎていき、僕は焦燥感で埋め尽くされていくのを感じた。
―――とにかく一分一秒でも働いて、少しでもお金をためないと…
そんな僕を心配してくれたのだろう、ユウキさんが声をかけてきてくれて、僕はゆっくり振り返った。
「最近あんまり寝てないせいかもしれませんね…」
「ほんとだよ。最近俺を泊めさせてくれねーし。ヒナのくせに生意気だよな」
「すいません……」
「ユウキ、いじめるな。そばかすも謝るな」
隣で見ていたシンジさんに呆れたように言われ、僕は小さく苦笑する。
「……にしても、本当に顔色が悪いぞ。今日は休め」
「いえっ!それはできません」
「客に心配されだしたら終わりだぞ。…店長に言っとくから休めって」
「うぅ、」
二人に一気に言われ、僕は言葉に詰まる。
それでも、働きたくてかたくなに首を振っていると、ユウキさんが呆れたようにため息をついた。
「……なぁ、そんなに俺って信用ならねえ?」
「え………」
「頼れない、休めない、相談すらもできない―――俺だってさ、オマエのこと結構気に入ってるの。オマエは違うわけ?」
「そんなこと!」
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