12
「………っ!」
ユウイチさんが息をつめたのがわかる。急速に熱を帯び始めたそれに舌を這わせながら、僕はもう一段階先に進むことにした。
ベッドサイドに手を伸ばすと、自分の後孔にローションを絡ませた指を沈める。
「っ!!」
「っ、手伝ってやるだけだからそんなに締めるな」
「ん……っ」
そんな自分の後ろに自分以外の指が触れて、僕は身体をこわばらせる。
ちらりと後ろを振り返ればシンジさんの節くれだった指が沈んでいくのが見えて、僕は思わず異物感に声をあげてしまいそうになった。
鼻に抜けるような声だけで我慢できた自分をほめながら、ユウイチさんへの奉仕を続ける。
シンジさんは慣れているようで、あまり異物感を感じることがないままに後ろを広げていってくれる。
時折引っ掻くように前立腺に指をかけられ、もしもユウイチさんを咥えていなければはしたなく喘いでいただろう。
咥え続けていることによる酸欠と、もどかしい快感にくらくらする。
そろそろまずい、自分を保てなくなると感じた僕は、シンジさんの指から逃れるようにして指を引きぬくと、ユウイチさんの雄を手に持ち、馬乗りになる。
ぐっ、と焦点を合わせると体重をかけて身体を沈め、ユウイチさんの雄を身体の中に迎え入れる。
「……っ、…!!」
ずぶずぶと沈んでいくユウイチさん自身が見えて、視覚からも犯されるような気がした。
やはり挿入の時には声が漏れてしまいそうになり、僕は慌てて自分の指を噛むことで声を抑える。
はっ、はっ、と荒い息があたりを支配する。
ぺたん、と僕のお尻とユウイチさんの腰がぶつかり合った。
ようやくすべて収めきったころには僕の指には血が滲んでおり、軽く舐め取ると『動きます』という意味を込めてユウイチさんの手を一度だけ握った。
「……ヒナっ」
ユウイチさんは僕を困惑したように呼んでくれ、僕は少しでも不安を和らげられるように腕の紐を解いた。
ユウイチさんは自由になった腕を動かして、そのまま僕の手を追うようにして僕の身体に指を這わす。
でも―――まだ現実を見ないで。
そんな気持ちを込めて、中心に触れようとしたユウイチさんの手をやんわりと外す。
目隠し越しにユウイチさんの困惑を感じ取ることができたが、僕はユウイチさんの手をしっかりと絡め取ることで、いわゆる恋人つなぎの形にした。
そして、見えないだろうユウイチさんに、優しく笑いかける。空気だけでも伝わればいいと願いながら。
―――手だけは、小さくてよかった。
女の子のように感じてくれれば嬉しい。収めたばかりで萎えてしまってはシンジさんに虚勢がばれてしまうから。
それだと、また二人の心が離れてしまうから。
僕は安心してもらうように握った手に力を込めると、そのまま腰をあげた。
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