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それに黒騎士様は目を鋭くし、僕を睨みつけて来た。

「どけ」
「……どけません。いさかいはお控えお願いします」
「後ろの奴は思ってるほどいい奴じゃねえよ。利用されてるの分からないのか?」
「それは関係ありません」
「………救いようがねえな」

それ、この前もヤナギさんに言われました。

グサ、と突き刺さった言葉に僕が何とも言えない気分になっていると、黒騎士様が口を開いた。

「それでも俺はお前がそばかすを連れていくのは我慢ならねぇ。そばかす、俺に付き合え」
「え」
「シンジっ!」

予想外のアフターのお誘いに、僕は目を丸くする。ユウイチさんは慌てたように黒騎士様―――シンジさんに食いかかっていた。

「どうしてそうなるんだ。そんなに俺がここにいるのが不満か」
「お前こそどうなんだよ。本気で抱く気ならそばかすをまず庇えよ」
「顔で相手を選んできたお前こそ本気か。ヒナはそういうタイプじゃないだろう」
「しっかりリサーチ済みってか。悪いがお前が見に来ているときは抱いてない」

さりげなく僕も貶してます、ユウイチさん。

お互いの確執は予想以上に長かったようで、ユウイチさんはあれからもここに来ていて、しかもシンジさんはそれをすべて分かっていたのだ。

それからも一触即発の雰囲気のまま口論は進んでいき、最終的にとんでもない方向に向かっていった。

「じゃあ、今日は三人でいいじゃねえか。そばかす、いいよな?」
「「なっ」」

僕とユウイチさんは言葉に詰まってしまった。

僕たちが何も答えられないでいると、シンジさんがさらに続ける。

「どうせヤるつもりなら、俺がいようがいまいが関係ないだろ?粗相しないように見といてやるよ」
「でも……」
「何―――できないの?」

心底馬鹿にしたような悪い笑顔をするシンジさんに、ユウイチさんは言葉に詰まっている。

僕はといえば、良かれと思って言った一言がとんでもない方向に転がっていくことにおろおろするしかなかった。

今日は様子見のつもりだったので、アフターの牽制のためにつかっていた言葉だったのに。

本当にセックスをしなければならない空気に、僕はユウイチさんに頭の中で謝るしかなかった。

「―――やってやる」

そんなことを考えていると、僕の肩を抱いてユウイチさんが短く宣言する。驚いて隣を見れば、ユウイチさんは確かな意思を持った目でシンジさんを見ていた。

「きまりだな」

シンジさんのその一言で、すべてが決まってしまったことを悟った…。





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