12
確かに、僕は馬鹿だ。
愛されたことがないから、愛を知りたいなんて思っている。知りたいと願いながら、都合の悪いことには蓋をする。
―――あの寒い雪の日、何もない家の中。
僕は何日も何日も、帰ってこない父さんを部屋の中で待ち続けた。
もしかしたら僕がいない間に帰ってくるかもしれない、と思うと家から出る気になれず。
帰ってきたら寒い部屋だと悲しむだろうから、ストーブをずっとたいて。
ヤナギさんが僕の所にお金を取りに来るのが遅かったら、きっと何カ月も待っただろう。
本当はわかってたのに。
―――僕は、捨てられたんだって。
都合の悪いことは、見ないふりをする。
でも、でも―――僕は知りたい。
もう一度、信じさせてほしい。一度だけでいいから、愛を知りたいんだ。
もし、親にも愛してもらえなかった僕に、愛を教えてくれる人がいるのなら。
―――僕はその分だけ、信頼で返す。
タツミさんと出会って、教えてもらった愛情の分だけ、僕はタツミさんを信じる。
「…僕はっ、んっ、あの人を信じたいっ!」
裏があってもいい。かりそめの愛情でもいい。
心が温まる感覚を教えてくれた、その事実だけで十分だ。
ヤナギさんの動きが止まる。正直息も絶え絶えで、肩で息をするのが精いっぱいだったけど、僕は涙を流しながら口を開いた。
「あの人なら、利用されたっていいんです……」
あの人が、好きで、好きなだけで。
冷えた心に慈しみをくれたあの人だけが、ずっと大切で。
「はぁ…救いようがねぇ」
「ひぁっ、ああんっ!!」
「オマエ、いっぺん死んだ方がいいんじゃね?小学生でもまだ学習能力あるぞ」
心底馬鹿にしたような口調で言いながら容赦なく犯され、僕はそのまま身悶える。
「もういい、オマエつまんね。もう喋んな」
「んー!!」
貪るように犯されながら、体中をヤナギさんが噛んでいく。かなり強めに噛まれていて、体中のあちこちに鬱血ができていた。
「潔癖じゃねえとか言いながら…本気でいってんのか、って話だよな」
ヤナギさんがそうつぶやいたかと思うと、僕の中に熱い液体が注がれる。
「んっ……」
「ガキはさっさとネンネしな」
ヤナギさんのそんなつぶやきを聞きながら、僕はそのまま意識が遠のくのを感じていた……。
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