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―――二日目の勤務も大きな変化があるわけではなく。

僕は裏方や給仕、カクテル作りなどがメインで、店長についてまわりながらなんとか仕事をこなしていた。

途中カウンター席のお客さんに店長が紹介してくれたけど、店長が優しいお客さんを選んでくれていたのか、好意的な反応をくれる人ばかりだった。昨日の冷たい視線がまるで嘘のようである。

昨日も来ていたお客さんもいたようで、『髪の毛切ったんだ。似合ってるよ』と声をかけてくれたりした。正直かなり嬉しかったのは内緒である。

「ヒナ」

そんなこんなで時間が過ぎていき、日付が変わったあたりでタツミさんが来てくれた。

「タツミさんっ!」

僕は嬉しくなって、店長に断りを入れてから笑顔で入り口まで向かうと、『熱烈歓迎だな』と頭を撫でてくれた。

「あれから体調はどうだ?」
「へっちゃらです。タツミさんは誰かと待ち合わせですか?」
「いや、ヒナの顔を見に来ただけだ。なんなら酒を一杯もらおうかな」
「ふふ、お世辞でも嬉しいです。カウンターあいてるんで、よかったらどうぞ」
「あぁ」

タツミさんをひきつれてカウンターに向かえば、店長が何ともいえない顔をした。

「……昨日も思ったんだが、お前らが並ぶと犯罪臭がするな」
「失礼な」
「じゃあ援助交際のようだと言っておこうかな」
「イズミ、てめ―覚えてろ」

慣れたしぐさでスツールに腰掛けたタツミさんに、店長はさっとお酒を取り出す。いつも頼むモノなのだろうか、タツミさんも何も言わずに口をつけていた。

「ヒナ、ちょっとタツミの隣に座って話し相手してやって。コイツ一人で来たさみしいやつだから」
「おいおい、その説明は何だよ」
「見たまんまを言っただけだ。…ヒナはカルーアでいいか?」
「はい。えと、お邪魔します」

店長に言われるままにカルーアミルクを受け取り、タツミさんの隣に座る。

昨日はもっと近くにいたのに、なんだかドキドキして落ち着かない。

「乾杯」
「乾杯です」




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