謙也は再びゲームの電源を入れた

…ブン

現れた少女は何も言わないままに謙也を頭の上から爪先までを舐める様に見回す
彼女が無言で見つめてくるので謙也は絶えられずに口を開いた

「俺…あんまオシャレとかわからへんのやけど」

どちらかといえば謙也は流行などよりも自分の直感で選ぶ事が多い
後は部活の友達に選んでもらったのがあったりなどその程度で
あまり組み合わせなどを深く考えて購入したりしないし割と着れればいい感覚である
それでも一応、新しいジーンズに以前白石に貰ったチェーンを付けお気に入りのバンTに雑誌でみた様なという知識からチェックのシャツを着てみた
という感じである

「ネタばらしするとな、服なんてなんでもえぇんすわ」

「………は?」

傍観する謙也に少女は続ける

「確かにファッション雑誌で流行ってそうな奴や値段が高い服を着るのもアリですけど…自分が自信をもって着れる服が一番やねん」


謙也は鏡で自分の服装を確認した時の満足感を思い出した

「その自信が余裕を生んで、その余裕が女の子に安心感を与える、そこが大事なんですわ」

最新の服装がその女の子の好みとは言われて納得する

「まぁ清潔感には気を配らなあきまへんけど」

「…なぁ」

話が途切れたのを見計らって謙也は一つ気になっていた事を訪ねた

「色々教えてくれるんわ嬉しいんやけど…自分、名前なんていうん」

「はい…!?」

いままで話していたのと流れが変わったからか少女が体全体で驚いた
慌てたように口をパクパクしている

「な、なんやねん突然…!」

「いや…なんちゅーか何日も会ってんに「君」いうのもあれや思うて」

少女は視線を下げてモジモジと何か考えてから顔を上げてビシっと指揮棒を向けた

「ほな今から30人の女の子にここからコンビニまでん道聞いてきてください!そしたらうちの名前教えてあげますわ!」

「30人!?どゆことや…」

…ブン


少女はまた言うだけ言って消えてしまった


「なんやねんその宿題…俺、その道知ってるっちゅうねん」




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