「おかしい事あらへんよな…」

白石は自分の服装を見返した
いかせんデートなと生まれて初めてのことであった
その顔立ち故に告白こそ幾度となくされてきたが受けたことはなかった
とりあえずイメージ限りにそれっぽいものを選んできたつもりだ

「白石さん!」

後ろから名前を呼ばれて振り返ると千歳が小走りで寄ってきた

「待たせてしまったとね」

「ううん、今きたとこやから」

あ、なんかデートっぽいななんて思えばいきなり千歳に手を引かれた

「どこ行くん?」

「映画」






千歳に任せたまま連れてこられたのはそこそこ大きな映画館
みたいものを聞かれたが映画館に来たからにはなにか見たかったのだろうと千歳に一任しチケットを買いに行ってもらった
白石はブラブラと話題の恋愛映画やSF映画にアクション映画のポスターを見ながら何を買ってくるのか思案していた

「はい、これ白石さんの」

「おおきに」

渡されたチケットのタイトルをみて白石は正直少し驚いた

「アニメ…?」

「あ、好かんかったと?」

眉を下げた千歳に白石は首を振った

「いや、びっくりしただけ…なんか以外やなって」

白石の言葉に千歳は柔らかく笑った

「この会社の映画すとね」

そう言って見せた携帯電話には誰もが知るずんぐりむっくりした灰色の森の精と魔女の使いの黒猫がいて思わず笑ってしまった

「なんか似合わんな」

「ひどか!」