アタシには好きな人がいるの
とってもすてきな人なのよ
彼は優しいわ
アタシの頭を撫でてくれる大きな手のひらが大好き
彼はいっつも太陽の匂いを纏っているの
その暖かい胸に擦りよるのも大好き
彼はアタシの事をよく知ってるわ
好きな食べ物もくれるし遊んでもくれる
何より笑顔が素敵だわ
あのヒマワリみたいな笑顔をみたらメロメロにならないわけがないもの


アタシは今日も彼を待ってるの
夕方の路地裏でいつものように
そうすれば彼はアタシの大好きな笑顔で手土産を片手にやってきてくれるわ
だけど今日はなんだか遅いの
どうしたのかしら
心配でウロウロしていたら彼の声が聞こえたわ
そちらに駆け寄れば彼、とそれから女の子がいたわ
とってもとっても綺麗な女の子
彼はいつもの様にアタシの元にきて頭を撫でてくれたわ
だけどアタシはいつものように喜べなかった
だって彼はアタシじゃなくて女の子ばかりみているんだもの
理由なんてわかりきってるわ
だってアタシも彼も彼女もおんなじだもの
みんな恋をしているの
彼は彼女に彼女は彼に
アタシだけが蚊帳の外じゃない
悲しいけど仕方ないわ
最初からアタシが彼と結ばれないことなんてわかってたもの
彼女が恐る恐るアタシの頭を撫でる
どうか彼を幸せにしてね
そう込めて私は彼女の手のひらをザラリと舐めた


「舐められた」

「はは、くら気に入られたとね」

「ニャア」







なの子さんは、「夕方の路地裏」で登場人物が「恋する」、「猫」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927