「7-5、ウォンバイ切原!」




青い空に柳先輩の声が高らかに響いた瞬間、俺は手にしていたラケットを落としてしまった。有り得ない事が起こった。柳先輩にも真田副部長にも勝てない俺が柳先輩も真田副部長も勝てない幸村部長に勝ってしまった。俺だけじゃない。柳先輩や真田副部長や他のみんなだって唖然としている。唯一俺に試合を持ち掛けてきた幸村部長だけが微笑んでいた。

「お疲れ様、赤也」

ゆっくり、噛みしめるように歩み寄りながら。ゆっくり、噛みしめるようにそう言った。ネット際で立ち止まると幸村部長はまたもやゆっくりと俺に右手を差し出した。コートの中央で立ちすくんだままの俺に小首を傾げ微笑みながら俺な握手を求めている。
なぜだか俺はその手を取ってはいけない気がした。手を取ってこの試合を、この勝敗を認めてはいけない気が。

「赤也」

優しい声色で名前を呼ばれ顔を上げた。夕焼けを背負った幸村部長は泣きそうな顔で微笑んでいた。

「…………っ!!」

俺は思わず一歩後ずさった。すると幸村部長は諦めたような顔をしてから右手を下げた。そしてこれまたゆっくりと口を開いた

「立海を…頼むよ」



その言葉を聞いて思わず俺は逃げ出した。走って走って、部室の裏で大泣きした。悔しいのか悲しいのかなんなのかはよくわからなかった。
その後は柳先輩が呼びに来てくれて誰もいない部室で1人着替えてから柳先輩と一緒に帰ったけど会話は一度もなかった





次の日、幸村部長が倒れた

神を背負わされた子
(幸村部長の言葉が頭に木霊して俺はまた涙を流した)







(背負わされたのは幸村か赤也か
みたいな
よくわからないお話で申し分ない(あ、いつもの事でしたね^q^)