「知ってます?謙也さん、うさぎは寂しいと死んでまうんですよ」

かわいいかわいい恋人はうなだれながら小さな手で俺のTシャツの裾をちょっとだけ掴んだ
俺の黒いバンTと彼女の白い手の甲のコントラストがちょっと色っぽい、なんて頭の隅で考えながら相槌をうてばポツリポツリと口を開く

「うちはうさぎなんです、やから、やから、」

「うん」

俯いた彼女の頬を両手で掴んでこちらを向かせれば真っ赤になりながらポロポロと涙をこぼしている

「メールする、電話もする、やから大丈夫」

優しく言えば溢れる涙は増していきへにゃへにゃな顔ですがりついてきた

「一年も謙也さんに会えへんなんて、うち死んでまう」

「GWとか来ればええよ、夏休みには帰るし、」

「そない言うても、今までよりずっとずっと、遠いし会えへんですよ」

次から次へ止まらない涙を拭って目尻に口づけてやる

「やけど、一年我慢したらずっと一緒やで?寝るも起きるも何するんも、否が応でも俺の顔みるようになるんやで」

そう言うと、彼女は違う意味で顔を真っ赤にして俺の胸元に顔を埋めた

「ずっと?」

「ずっとや」

「一生?」

「一生」

謙也は真っ赤になっていた鼻に軽く噛みついた

「やから、笑って」

くしゃり、と光は笑った




「待ってて、」







謙也が上京(大学進学)するお話