“恋は罪悪ですよ”

その台詞を知ったのは現代文の教科書でだった
それを一目見た瞬間に走った衝撃を忘れる事は一生出来ないだろう
この、一生忘れる事の出来ないだろう恋にこれほどまでに相応しい台詞など

そう、この言葉の示す通りに俺の恋は罪悪に他ならないだろう
一介の一番近しい親友に恋慕を抱き、あげく同路へと導いてしまった
世間や社会から後ろ指をさされ生み育ての親を悲しませるしかないこの道へ
俺があいつに恋をしなければあいつは幸せだっただろう
俺じゃない可愛らしい女の子と幸せな未来を歩んだのだろう
ただ俺があいつに恋をしたまでに
こんな、非生産的な恋は人間に生物に必要ないはずなのに

きっとあいつにこれを言ったら激怒するだろう
そこまであいつはこの道に浸ってしまった
それか俺が可愛らしい女の子だったら話はまるく収まったのかもしれないな





「幸村、帰るぞ」

俺は現代文の教科書をパタリと閉じて鞄に閉まった
先を歩く彼の腕に触れてから暗がりなのをいいことに抱きつけば何も言わずに頭を撫でられた
熱い、体温を感じながらこいつといられるのなら俺は
どんな罪でも罰でも背負える気がした



(word by SousekiNatume)